小さな村で縫い物上手だった祖母。決して豊かな家庭ではありませんでしたが、祖母はいつも知恵を絞り、私たちのために一針一針、服を縫ってくれました。私のために縫ってくれた着物や服は驚くほど丈夫で、時を超えて私の子供も袖を通すことができたほどです。何十年経っても色褪せないその丁寧な手仕事は、私にとっての「本当の美しさ」と「暮らしの豊かさ」を教えてくれた、大切な宝物です。
一方、農家だった祖父は、果物を保管する納屋さえも自らの手で建ててしまうほど器用な人でした。裏山の竹を削って作ってくれた竹とんぼやおもちゃは、どれも細部まで見事に整っていて、子供心にその精密な美しさに感動したのを覚えています。
なんでも美しく丁寧にしつらえる祖父は、いつもニコニコと穏やかで、そんな祖父の暮らしぶりや確かな手仕事が評判を呼び、毎年TVの取材を受けたり、祖父母揃ってCMに出演したりしたこともありました。私にとって、最高に自慢の祖父母でした。
「ないときは、自分の知恵と工夫で生み出せばいい」 そんな二人の背中を見て育った経験が、今の私のクリエイティビティの根底に流れています。